潜在意識を使った自己実現がうまくいかないタイプがいるNo.11

「思いは実現する」は本当か

1937年にナポレオンヒルが著作「思考は実現化する」を発表し、1968年にはジョセフマーフィーが著作「眠りながら成功する」を発表をして以来、スピリチュアルブームの今日では「思い」は実現するという話は世間一般に広く知れ渡っています。

確かに、これらの本、または類似の研究を行い、発表された書籍を読んだ方で成功者が続出しています。またジョセフマーフィーにおいてはリアルに会った人を、潜在意識を使った自己暗示の方法で成功させています。

しかし、まだ成功体験のない一般の方からすると、「潜在意識に暗示をかけるだけで本当に成功したり、自己実現できたりするものか?」という疑問も多く聴かれます。

「実際に眠りながら本に書いてある通りのことを実行したけど何も未だに、自分は自己実現を果たしていない」「その通りにやっていたら、現状はもっと悪くなった」という方もいます。

この思想・成功哲学は、成功者を多く輩出していることは確かですが、同時に多くの挫折者も輩出しているのが現状でしょう。そして、40年~70年近くの年月が経った2018年現在に至っては、結局、誰もが「成功するとは限らない」または「それだけでは自己実現できない」という評価が一部で下され始めています。

さて、ここで潜在意識を使った自己実現というものは、一体どういうものなのか改めて解説します。

潜在意識を使うとかえって失敗するケースとは

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真面目で正直な努力家ほどうまくいかない

バカ正直タイプ

結論から言いましょう。残念ながら潜在意識にポジティブなイメージや言葉を植え付けようとすると、むしろそれ以前よりも悪い現状が繰り広げられることがあります。

なぜかというと、ジョセフマーフィーの書籍にも書かれていることですが、現状が非常に辛い状況なのに、「良くなる」「私は必ず成功する」ということをイメージしようとしたり、言葉を心の中であっても唱えたりすると、本音の「現状は辛いのに、何を言っているんだ」という心の中で意識が芽生えます。マーフィーは、そんな心の声が聞えてきたら、「いや、そんなことはない、必ず成功すると、断言してかき消して下さい」と言っています。

しかし、実際はどうかというと、多くの人がその心の本音にすら気づかずに、「私は成功する」「良くなる」「希望を実現してくださりありがとう」と唱え続けるのです。

それを続けると、実は同時に本音の「そんなこと本当にあるものか」とか、「今、自分は嘘を言っている」などという声を潜在意識に植え付けていることになるのです。

つまり、結局、ポジティブな思考やイメージは表面意識に留まってしまい、本音の「そんなうまくいくもんか」という思考やイメージの方が、どんどん潜在意識に刷り込まれてしまうのです。正直で真面目な努力家ほど、そのように逆転現象が起きてしまうのです。

結果として、まんまと「やっぱりそんなうまくいかなかった」となります。

向上心が強く、頭が良い人はかえって潜在意識が悪さをする

向上心タイプ

また、マーフィーの法則や思考実現化の法則を信じているけども、潜在意識を変えようとすればするほどかえって現状が悪くなっていくタイプもいます。

それは向上心が強いタイプに多く、その中でも自分の至らない点や反省点ばかりに目が行くタイプです。このタイプは頭が良く完璧主義です。足りないところを補って弱点を克服しようとしたり、自分の短所をどうにかして改善できないものかという意識が根底にあるため、そのできていないことにフォーカスしてしまうのです。

学生時代の頭の良いタイプでいませんでしたか。「テストの点数が悪かった」と落ち込んでいても、実際は90点以上取っていたり、中には99点取っていても凹む人がいます。そういうタイプは実際は有能でも、コンプレックスに意識が行くので、なかなか自己暗示にかかりません。

そういうタイプが、潜在意識を変えようと思って、自己暗示で「きっと夢は実現する」「良くなるしかない」と思いこんで刷り込もうとしていても、そもそも「この部分が悪いからそこを改善して、、、」という意識が先に入ってしまって、後の「だから変えよう」という意識の方が潜在意識に入っていかないわけです。

たとえば、ある貧乏人が「大富豪になりたい」という夢を実現させようとして、「私は大富豪になる」「私は億万長者になる」と言い続けたとしても、心の奥底では「今の借金地獄を解消するために、大富豪にならなければ」とか、「この今の酷い貧困から脱出するために、億万長者になって家族を豊にしなければならない」と、自分に言い聞かせます。しかし、この願い方は「今の貧乏な現状」を先に意識してしまうため、心の声にもなっていない深層心理に「今は貧乏…」「今は借金地獄…」というネガティブなイメージが刷りこまれてしまうのです。

そうすると潜在意識には「貧乏」「借金地獄」がインプットされて、やがてもっと貧乏で、もっと借金がかさんだりするわけです。完全に努力逆転の逆効果で、常にみじめな自分をイメージし続けているのと同じになり、悪い方向に潜在意識が働きます。そして皮肉な結果として思考が実現化してしまうのです。

向上心が強いために、できない自分が許せない、だから今より良くなりたいと思って、頑張りますが、できない自分の方を前提として意識しているので、そこの部分が逆効果になります。

これも、マーフィーは「リラックスした状態で成功をありありとイメージする」と、言っているのですが、成功しないタイプのほとんどは、自分がリラックスしているかどうかすら意識していません。したつもりになっているだけで、実は相当力んで念じているだけなんですが、本人は気づかずにネガティブ意識を毎日刷り込んでしまっているわけです。

宗教心が強い人は、成功した自己イメージを描くことに罪悪感を覚える

宗教系のタイプ

成功すること自体を怖がる人もいます。そもそも潜在意識は現状維持を好むという傾向があるため、変えるには時間がかかるものですが、なんらかの宗教を遍歴している人や、古い宗教を信じている人などは、お金持ち=ずる賢い人という認識が深層心理に植え付けられていることがあります。

キリスト教などではイエスキリストが、「金持ちが天国に入ることは、ラクダが針の穴を通るのと同じくらい難しい」という言葉を残していますし、仏教にしろ、イスラム教にしろ、質素倹約がライフスタイルになっていますよね。

古い宗教が発祥した時代は、世界そのものの生活水準が低く、身分制度も厳しく、庶民、万民がお金持ちになることを目指す選択肢がなかったのです。実際、まだ世界人口の大半が貧しかった頃のお金持ちは、そういった時代背景や身分制度などの洗脳もあって貧乏人を助ける、といった人も少なかったのかもしれません。

また質素倹約こそ善であり、間違いのない道、といった認識や、物欲、名誉欲などを悪としている宗教としては、俗世の生活自体にあまり価値を置かなかったので、こういった経験を転生輪廻で経験していると、成功を求めること自体に、深層心理で抵抗を持ってしまうのです。

どうやったら潜在意識を使った成功法則を活用できるようになるのか

あきらめると何故か実現するタイプ

よく芸能人などが、オーディションに落ちまくって、これで終わりにしようと思って受けた最後のオーディションで優勝したり、プロデューサーから声がかかって、その後の成功のきっかけとなった等の話はよく聴きます。

沖縄のロックバンド、かりゆし58は、インディーズの頃、1年間頑張ってダメだったらあきらめると決めてデモテープをレコード会社に送り続け、これがダメなら、、と思っていたところプロデューサーに声をかけられメジャーデビューしたそうです。さらにデビュー後鳴かず飛ばずで、次の曲で売れなければ契約を打ち切るという通告を受け、最後に母親への感謝の思いを込めた「アンマー」を作ったところ、これが有線大賞を受賞するほどのヒットになりました。

何か自我の欲が先に立っている時や、結果ばかり追って焦っている時は、なぜかうまくいかないものです。

しかし、これでダメなら仕方ないと力みが取れて腹をくくった心理や、自分が売れるためよりも誰かのためにやろう、と動機が自我ではなく、他人へ向く自我の殻がなくなった心理になると、ようやく潜在意識が働き出すわけです。

人の成功を手伝っていると実現するタイプ

中村文昭さんという、有名な講演家がいますが、その方は人のご縁ででっかく生きろということを提唱しています。この方の真骨頂は「頼まれごとは試されごと」と捉えて、真夏の炎天下の中、ジュース一本買いに行かされた時でも全力で走り信じられないスピードで買ってくるほどでした。

自分から欲を出さず、大それた何かを成そうなどと考えず、とにかく人から頼まれたことを普通では考えられないほど全力で返していくのです。周囲から一目置かれるようになり、あいつに1頼めば、10の力で返してくれるという信頼がついてきます。

こうなると、周りは放っておかず、よいはなさあれよあれよのうちに成功してしまったわけです。ここで大事なことは「潜在意識には主語が通用しない」ということです。

つまり、自分のことと、他人のことを分けて考えるのではなく、他人のことを心底思って良くしようという願いを思っていると、自分のことも比例して良くなっていくという現象が如実に現れている典型的な事例と言えます。よく自分のことになると、急に自己卑下的になったり、自虐的になる人がいます。自分を大事にしていなかったり、自分のことを考えていることが悪いこと、という意識があったいするのでストレートに自分の成功を思い描けません。

こういうタイプは他人のことについては、堂々と尽くすことができるのです。なぜかというと、人の目や道徳的観念から照らしても人のことに一生懸命になることは善い事という認識があるからです。このタイプは、思いっきり他人の倖せを願い行動することで、潜在意識のリミッターがはずれて活発化してきます。

好きなことばかりやっていると成功してしまうタイプ

セカオワは、バンドを組んでライブをやり始めた頃はお客さんがゼロ状態だったといいます。しかし、本人たちが楽しければ良いという良い意味でこだわらないマインドでライブ活動を続けていたら、いつの間にか日本を代表するグループになったわけです。

これは生粋の芸術家タイプに多く、人の目を気にせず自分が楽しいことを、素直にやっていくので、心に曇りがありません。人間は楽しい、嬉しいといったα波が出ている時は、発明や素晴らしいインスピレーションやアイディアが浮かんだりして成功することが多いのです。

芸術的な才能や、個人の技能が高いタイプは、本来好きなことだけを徹底的にやると良いのですが、これが周囲の常識の押し付けや、束縛、注意を受けるような環境で、みんなに合わせないといけないという意識が強くなると、とたんに心が死んでしまいます。そういう俗世間の洗脳を受けてしまうと、「自分の好きなことを望むことは悪いこと」という認識を潜在意識に刷り込んでしまっているため、なかなか童心のような楽しいという心が取り戻せなくなります。

しかし、芸術家として成功した人は、たいがいわがままな一面と、頑固な一面があります。この性格について他人から何を言われようと「気にしない」で、自分の好きなことをやれる人は、潜在意識へのポジティブな意識が非常に強く刻印されるのです。

潜在意識活用のコツは「ねばならない」の縛りをなくすこと

以上の事例から考察できることは、「~せねばならない」という意識があるうちは、潜在意識を活用できないということです。「ねば…」の部分に、本心の幸福な感覚よりも、理性によって自分の外側にある要因によって行動しているという証拠があるわけです。

本心から、心底思わなければ実現は難しいので、先ず自分の本当に生きたい生き方を現在しているかどうか、自分の考えと感じるものがしっかりイコールになっているかどうかをよくチェックしてみると良いでしょう。

本当は寿司屋の板前さんになりたいと思っているのに、あまり好きではないスイーツのパテシエの仕事をしていたとしたら、その仕事は生活するために「やらねばならない」性質のものとなります。ねばならないことを仕事にすると、使命感はあっても幸福感はないでしょう。

潜在意識が良い方向に動くためには、現在只今が幸福と感じる心を持っていないとなかなか難しいということですね。聖書でも「富めるものはますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」という言葉は、まさに潜在意識のことを語っているのです。「ねばならない」では潜在意識を使うための条件であるリラックスの要素がありません。これでは逆効果になってしまうのです。

まとめ 潜在意識はコツコツが一番リスクが少なく確実な活用法

人生は短距離走ではなく長距離走と考えて焦らない

潜在意識を使った自己実現がうまくいかないタイプは、自分で勝手に「いつまでに成功する!」とか「早く実現させる!」と気張らない方が良いです。

最近のスピリチュアルでは、潜在意識は現状維持を好み、変化を嫌う性質を持っていることが、わかってきました。急激なダイエットによるリバウンドもその典型例でしょう。仕事における燃え尽き症候群も一種のリバウンドと言えます。

1000㎞の道のりを100mダッシュのスピードでゴールしようとすれば、すぐにへばってしまい、「これは無理だ…」「きつい」「もっと別の道はないものか」という発想が生まれてしまいます。そうなると1000㎞を完走することが結局できません。しかし、元々歩いて途中適度に休みながらでも良いという認識で「毎日一歩でも進めば良い」という認識でいると、思った以上に早くゴールに着いてしまうものです。

また、少しずつでもコツコツ頑張っている人には、必ず周りの応援が与えられます。そうすると、本来は1年かかる道のりでも、途中で車に乗せてもらえるようなラッキーや、ちょうどゴール地点に向かう電車の駅に遭遇するという現象が現れてきます。こうなると、最初はのろまな亀のような進み方であっても、ワープに近いショートカットで終わってみればまるで100mダッシュのスピードで1000㎞を走ったのと同じスピードが得られたりするのです。

潜在意識とは、本当に不思議なもので、早く自己実現しようと焦るとうまくいかず、逆に肩の力を抜いて期待せず淡々とやるべき事をやっている方が成功に繋がることがあります。むしろ力まない方が良いです。力んで願って何か引き寄せをしたり、うまくいったりするケースもありますが、それは潜在意識による自己実現ではなく、本人の念力による自己実現です。

念力で自己実現しようと思わない

潜在意識の活用には「幸福感の感情=リラックス」が大きなチェックポイントとなるので、成功イメージを念じようとしている時点でそれは潜在意識ではなく、「念力=緊張」を使った自己実現になってしまうのです。

念力で自己実現をすることも、念が強い人は可能ですが、たいがいは無理やり結果を出す的な強引な自己実現で後から不幸が起きたりします。

たとえば、「この企画を自分の思い通りに遂行すれば必ずうまく行く。だが、それには上司や取引先を説得してこの企画を実現させなければならない。」という場合に、念力を使うと、あなたの考え、企画に反対する人が事故に遭って関係者から外れるといった現象が起こって、賛成派の人が決定権を持つ役職についたりします。一見、ラッキーなことのように見えますが、この企画が実現した際に、思わぬ盲点が発覚して企画そのものが大失敗という評価を下されてしまい、あなたの株が最終的には下がるという事が起きます。

念による自己実現にはこういうリスクがあります。もっと簡単にたとえると、身長を伸ばそうと念じると、脳天に工具か何かが落ちてきて怪我をして、たんこぶができて身長が5㎜伸びた、という感じに似ています。

潜在意識を使った自己実現であれば、知り合いからカルシウムの多い小魚をもらってもりもり食べたり、ひょんなことから運動の誘いを受けたりして、身体の健康を保ちながら身長が伸びたりします。

その事を考えるだけでワクワクできているか

自己実現には、実現した時のビジョンをありありと描く、想像することが大事だと、どの成功法則でも説かれます。確かにこれが描けない場合はそもそも自分がどうなりたいのかがはっきりしていないということですから、難しいでしょう。

しかし、だからと言って無理やり念じることは執着になり、本人も苦しくなりますし、潜在意識にもその苦しさの感覚が伝わって良くない現実が実現してしまいます。

ですから、集中と執着の違いを見極めるコツとしては、そのビジョンを思い描くだけで楽しくなったり、ワクワクしたりするかどうかをチェックしてみましょう。

うまくいかない場合は、意外とその目標が実現してしまうと別の困ったことが発生することを無意識に心配している場合もあります。たとえば億万長者になりたいと願っても、無意識では「億万長者になったら強盗に狙われるかもしれない」なんて思ってると、億万長者にならないように自分が動いてしまうか、強盗に意識がいってしまいそちらが先に実現してしまうなどのリスクが出てきます。

そもそも実現する願いの場合は、イメージが自然に次々と思い描けるものですから、なかなか描けないなと思う場合はその時点で「違う」というサインであることがほとんどです。

自然体でワクワクイメージが進むという状態が、一番潜在意識に効果的です。肩の力を抜いて、幸福感を味わいながらイメージしましょう。

あきらめるとうまくいく

以上、長々と述べてきましたが、結論としてシンプルにまとめると「あきらめるとうまくいく」ということです。

子犬や子猫が自分の尻尾を追いかけてクルクル回っている姿をよく見ますが、尻尾を捕まえようとしなくても、自身が前に向かって進んでいくと尻尾というものは常についてきます。潜在意識による自己実現というものは、そんな感じによく似ています。あきらめるとツイてくるわけです。ポイントは、意識ではあきらめるけれども、自分自身は前進するというところです。

「望むけども期待し過ぎない」生真面目で正直すぎる方の場合は、これくらいの気持ちで丁度良いでしょう。元来真面目なのできっとやるべきことはやっているはずですから。

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