No.55 ゲーム依存症の弊害とスピリチュアル視点

ゲーム依存症は単なる依存症としての恐さだけでなく、子供の脳の発達を止め、キレやすい性格を形成したり、高次脳機能に障害を及ぼすなど、非常に大きな弊害があります。本記事では、そのメカニズムとスピリチュアル視点からゲーム依存症を解明します。

ゲーム依存症とは

ゲーム依存症とは、2018年に世界保健機関(WHO)によって、新しく病気として認定された精神疾患です。

1年以上、以下の3項目に当てはまった状態が継続されていると、ゲーム依存症であると診断される可能性が高くなります。

◯ゲームをする時間や、頻度を自分でコントロールできない

◯日常生活でやらなければいけないことよりも、ゲームを最優先にしてしまう

◯何か問題が起きてもゲームを止めることができずエスカレートさせる

ゲーム依存症の人が、ゲームを目にした時の反応は、アルコール中毒やギャンブル中毒の人と同じ反応を示している為、重症な場合は入院治療が必要なこともあります。

具体的な弊害とは

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日常生活に支障が出る

ゲーム依存症は前述したように、やるべきことを疎かにしてゲーム優先したり、生活のすべてをゲーム中心に行動してしまうという『中毒症状』がある為、日常の様々な場面で支障をきたします。

〇勉強ができなくなる

〇仕事ができなくなる

〇部屋、家の掃除ができない

〇昼夜逆転した生活になり不健康になる

〇引きこもり、ニートになる

などなどです。

子供の脳の発達を遅らせる

ゲームのやり過ぎでバカになるのは本当

18歳未満の子供がゲーム依存症になり、ゲームを毎日1時間以上やり続ける生活をしていると、ドーパミンの分泌過剰になり、脳の神経伝達機能の成長が遅れるか、もしくは未発達のまま大人になってしまいます。

一番脳が発達する子供時代に、脳の成長が止まってしまうと、程度は個人差がありますが、記憶力、思考力、判断力、集中力など高次脳機能に支障が出てしまい、いわゆる「おバカ」と呼ばれるような大人になる可能性が高いのです。

ある実験によって、ゲームを日頃から長時間プレイしている子供の脳を調べたところ、脊髄の神経伝達機能である『白質』と呼ばれる部分が、未発達であることが確認されました。この神経伝達機能が未発達であることによって、現実問題を処理する能力が著しく欠如している人間になってしまうわけです。

『ネット廃人』と呼ばれ、社会不適合者になってしまうのは、脳の状態からしても明らかだといえるでしょう。

キレやすい性格になる

他にもゲームをやっていると、ドーパミンとよばれる幸福を感じる物質が脳内から分泌されます。「幸福を感じているのなら悪くないのでは?」と思いがちですが、脳は、このドーパミンが出続ける(出過ぎる)と、『前頭前野』と呼ばれる理性を司る脳が劣化してしまうのです。

『理性脳』が機能しなくなるので、頭では「ゲーム、そろそろやめないと。」と考えるものの、自分で自分のコントロールができず手を止めることができません。また理性脳よりも、感情や本能を司る脳が優位になる為、ゲームをやってばかりいる人に注意すると、急に激高して怒り出すといった『キレやすい性格になる』ということもよく理解できます。

これはゲーム内容に残酷性があるかないかに関わらず、ドーパミンが出過ぎることでなる為、どんなゲームであるかは問わず、ゲームはやり過ぎないように注意しないといけません。

学力の低下

ゲームをやり過ぎることで、大人になってからの高次脳機能の欠如や、本能や感情がコントロールできずキレやすくなるという弊害の他に、『学力が低下する』という直接的な害も、現在ではデータとして出ています。

仙台市の中学校で、スマホ(ゲーム)の利用時間と学力の関係を調査したそうです。家庭での学習時間は、全員30分~1時間という条件のもと、テストの平均点で比較してみたところ、スマホ(ゲーム)の利用をまったくしないか、もしくは1時間未満利用の子が、最も平均点が高くなりました。

一方、1時間以上、毎日スマホを利用している子は、利用時間が長くなるほど平均点が落ち込んでいく、という結果が出ています。

報道されずにいるゲームの弊害

しかし、これまで述べてきたような、ゲームのやり過ぎによる弊害の危険性を、あのニンテンドーDSのヒットゲーム『脳トレ』を監修した東北大学の川島教授が、グラフを使って発表したにも関わらず、マスコミはほとんど報道しなかったそうです。

マスコミが報道しない理由としては、ゲーム業界、関連企業などへの忖度、または秘密裏に話し合いなどをして、お互いの利害関係を守ろうとしているのかもしれません。

しかし、川島教授ははっきりと「スマホ(ゲーム)は1時間以内に強制的に抑えてあげる方が、未来にとって幸せであろうと考えます。」というコメントを残しています。

一般的な原因

以前は、親がただ単に「ゲームばかりやっていないで、ちゃんと勉強しなさい!」と、根拠がないまま叱ることがほとんどでしたが、前述のような脳が未発達になってしまっている科学的なスキャン画像や、学力低下の統計データがある以上、子供のゲーム利用は、親が強制的に管理すべきだと、私個人としても思います。

しかし現代は、ゲームの進歩とともに、家庭環境の面でも、親が共稼ぎで子供がほったらしにされたり、片親で育てられている為、子供の寂しさを紛らわす代用品として、親が率先してゲームを与えてしまうケースが少なくありません。

私自、この事実を知る以前は、遠出の旅中に暇を持て余してじっとしていられなくなった我が子を、大人しくさせる裏技としてゲームを渡していました。

また、「外で遊んで来なさい!」と言いたくても、公園は減り、ブランコや滑り台、ジャングルジムなどの子供用の遊具も、危険ということで撤去されてしまい、現実問題として都会においては子供が外で遊ぶ場所がないのも事実です。少子化と、遊び場がないという環境も相まって、ゲームの弊害の面はなおざりにされたまま、ゲーム利用者は増える一方という状況になっています。

特に最近では、新型コロナ政策として国民が自粛要請をされている為、ゲームにハマるような世の中の流れができつつあるといえますが、そこで最もハマるのがオンラインゲームです。仮想現実のような感じで、特にミッションもなく、ゲームクリアという終わりすらありません。

これにハマると長時間プレイのみならず、課金を平気でするようになってしまうので、ゲーム依存症の予防としては、このオンラインゲームが一番の脅威といえるでしょう。

メカニズム

肉体的なメカニズム

ゲームをやることで人間の脳からドーパミン(幸福を感じる物質)が分泌されます。このドーパミンが分泌し続けると、前頭前野と呼ばれる理性脳が機能しなくなっていき、次第に高次脳機能が正常に働かなくなるわけです。いわゆる『バカ』といわれるようになるのは、前述した通りです。

ちなみに、ドーパミンの出過ぎによって劣化する前頭前野は、適度に『我慢』をすることで発達させることができるそうです。そうであるならば、やはりゲームをすることを我慢して適度にストイックになり、よく勉強し、たまに遊ぶ、といったバランスのとれた中道生活を送ることが、依存症予防の鍵といえるでしょう。

スピリチュアル視点のメカニズム

原因

なぜゲーム依存症になってしまうのかを、スピリチュアル視点で見ると、原因はあきらかに『渇望する心』です。

現代人は、これだけ物質に溢れており、生活水準が上がっているにも関わらず、心の面ではまったく満たされていません。特に現代の子供は、昔以上に親や他人の『愛情』『人の温もり』などの人間の感情に飢えています。その寂しさの表れが、テレビをつけっぱなしにしたり、スマホや、ゲームをやり続けるという屈折した行動となってくるわけです。

さらに人間は『進化』するように神様からプログラミングされているので、常に刺激を求める本能があります。ゲームの刺激は、その本能を手っ取り早く満たす面があるのです。

『寂しさ』や『渇望』『刺激欲』を、ゲームという『快楽』で満たしてしまうことは、神様の目から見た場合はNGとなります。それは本当の意味で、魂を向上させることにはならないからです。ゲームはあくまで架空の疑似体験であって、リアルな経験ではありません。

テクノロジー開発者は自分の子供にはそれを触れさせない

シミュレーションゲームのようなものであっても、生ものであるリアルな現実ではほとんど役に立たないのです。それは地上でどんなに泳ぐ練習をしても、水中を泳げるようにならないのと一緒でしょう。ゲームにハマるもう1つの原因としては、『楽をして得たい』『自分は動きたくない』『ゲームに自分の居場所を見出す』といった逃避の心もあります。

スマホを発明したアップルの創始者、スティーブジョブズは、自分の子供たちにiphoneやipadを触らせませんでした。それはもちろん、開発者であるジョブズ自身が、子供にとっては有害であることを知っていたからでしょう。そして、代わりに父親であるジョブズが常に、子供たちに話をしてあげていたそうです。つまり子供たちは『暇になる』ということがなく、常に父親と対面してコミュニケーションをとっていたわけです。

「父がしっかり休みの日には家にいて、家族と対話するなんて天下のスティーブジョブズだからこそできたんた!」

と思う方もいるかと思いますが、問題は、子供たちの心をいかに満たしてあげるかです。生活様式が都会型になるにつれ、ゲーム産業も発展してきました。その中で、外で遊ぶ場所を失い、共稼ぎで留守番をするハメになった子供の暇を、たまたまゲームというテクノロジーで埋めるようになったのですが、その代償が、極論をいうと『知能の崩壊』に繋がっているわけです。

なぜゲームがいけないのか

ドーパミンは『幸福物質』とか『快楽物質』などと呼ばれていますが、心の面や、スピリチュアルの面からいうと、この『幸福』と『快楽』はまったく別物といって良いでしょう。

人間の『幸福』には、実はその陰に人と人が絡む『努力』がセットで存在するものです。逆に『快楽』というものは何も苦労がなく、『ただ快い』『ただ楽しい』というだけの刹那的なものです。

たとえば、家族が団らんを楽しんでいる時間は、誰もが幸福だと感じるでしょう。その陰には、お父さんは一生懸命仕事をして帰宅し、お母さんは頑張って家事をして、子供たちは学校で勉強をしたり、運動をしたり、友達と遊んだりして様々な勉強と経験を積んで帰ってきます。各々が社会貢献したり、家族の世話をしたり、自己鍛錬に『励んだ先の癒し』として、家族団らんの癒し=幸福があるわけです。

一方、ゲーム、ギャンブル、酒などに共通する『快楽』とは、努力が伴いません。この「努力が伴わない」とはどういう意味かというと、『人間性を磨いていない』『魂を向上させていない』ということです。スピリチュアル視点でみると、『幸福』とは人が人間性を磨いたり、他人との調和のために身を尽くした先に得られるもので、さらにその『幸福』が、人間性を豊かにさせ温かみを持たせます。この『幸福』の為に、「また頑張ろう!」という気持ちになるわけです。

神様は『快楽のみの追及』を裁く

しかし、『快楽』は逆に、「現実世界に戻りたくない」という思いにさせます。つまり人間を堕落させるものであるということです。『快楽の都市』ということで有名な、イタリアのボンベイという古代都市は、ヴェスヴィオ火山噴火によって一夜にして滅びましたが、それは快楽だけを追及した人々への『神の審判』を表しています。

それを個人に置き換えた場合、堕落することをしていると、人間としての知能が堕ちてしまうという『因果応報』を抑止力としているといえるでしょう。「ゲームなどの快楽のみの生活をすると、人間ではなくなってしまう。」という警告の意味もあるわけです。

スピリチュアル視点でみる時の大事なポイント

肉体面では、ドーパミンが出るという現象としては共通していても、この『幸福』か『快楽』かの違いで、人間性が成長していくか、廃人のようになっていくか、が180度変わってきます。実は本当の意味での『幸福感』によって分泌されるドーパミンであれば、出過ぎたとしても、依存症になったり、脳の劣化はありません。

逆にいえば、神様は、『人間が快楽にハマり続けないように』ということで、人間としての高次脳機能が失われていく仕組みにしたともいえます。その理由は、「人間には常に向上を目指して頑張ってほしい。」という願いや希望があるからでしょう。

ゲームがいくらうまくなっても、人間性は高まりません。ゲームをやり過ぎると、人間は脳が動物化(退化)してくるということは、『現実世界を疎かにするほどゲームに夢中になることを、神様は望んでいない。』という結論になります。

ゲーム依存症を克服する方法

積極的にデジタルデトックスをする

デジタルデトックスとは、まさしくスマホの見過ぎ、使い過ぎで依存症になってしまっている大人が、絶対にスマホなどのデジタル品を使用しないように、没収してもらい、数日間デジタルから離れてアナログ生活する、といったものです。

現在では、ホテルなどでもそのようなサービス(フロントでデジタル品をすべて預かる)を行っているところもあるので、休暇をとった時に数日間泊まってデジタルデトックスをしても良いでしょう。

子供だけではなく、大人もスマホ画面から無意識に受け取る莫大な情報量や、スライドなどでかかる目の負担などで脳過労になる人が増えています。本来であれば、日常の中でできるだけスマホ画面を目にしないような工夫をするのが、一番といえます。

(例)

・スマホはポケットではなく、カバンの中に入れっぱなしにする

・調べものをネットでする時は、手書きでメモをとる

・(仕事で使うわけでなければ)「スマホを見る時間は〇時~〇時まで」と決める

・トイレ、風呂、寝室にはスマホを持ち込まないようにする

・食事中、会話中は絶対にスマホを見ない

・デジタル用品を使用しないですむ趣味を見つける(散歩、スポーツ、旅行など)

ある程度の強制的な荒療治も必要

親からすると、自分がかまってやれない部分をゲームで埋めたい気持ちもありますし、既にゲームにハマっている我が子から、ゲームを没収するということは、非常に辛いかもしれません。しかし、ゲームをやり続けることで、我が子が大人になった時に、仕事に支障が出るほど忘れっぽかったり、思考、判断が極端にできない人間になることを考えたら、ある程度強制的に禁止をした方が良いでしょう。

ゲームに制限をかける分は、やはり親が子供の話を聴いてあげたり、一緒に遊んであげたり、スキンシップをとってあげることが重要です。ただゲームプレイ時間に制限をかけるだけでは、心の渇望は満たされないわけですから。

親子が対話する時間を増やすことでゲームをさせなくする

ほとんどの人がダイエットを失敗するように、自分自身でストイックに様々な娯楽、快楽を抑制したりコントロールできる人は非常にごく稀です。ですから、前述した項目を一人で実行する、もしくは実行させるのではなく、本人以外のもう一人の強力が必要といえます。

独身者や、一人暮らしの学生であれば、電話で親や親戚、友人とコミュニケーションを直接取るようにして、必然的にスマホ画面を見れないような状況に持って行きましょう。

スピリチュアル的にも、ゲームによって「他人とリアルで対面しない世界で、快楽にハマり過ぎて人間性(知能)を失う」ということなので、逆にリアルな人とのコミュニケーションを増やすことで、理性脳を活性化させることは、効果的な方法といえます。

まとめ

以上のように、根本原因をスピリチュアル視点で見ることで、対策の本質がわかってきます。

・ゲーム依存症は多量のドーパミンを分泌してしまう。

・ドーパミンの出過ぎによって理性脳の発育が止まり本能や感覚脳が優位になる。

・ゲームをやり過ぎると本当にバカになる(学力の低下につながる)。

・子供へはある程度強制力をもってゲームをする機会を減らす必要がある。

・ゲームにのめり込む原因は『渇望の心』があるため。

・架空の世界で満足してしまうことへの警告。

・デジタルデトックスをする。

・満たされない欲求は、あくまでリアルな人間関係で充足する努力を。

最後に個人的な体験談ですが、実際にゲームにハマり過ぎている人(ゲーマー)と、一緒に仕事をしたり、実際にその人とお話を聴いたりしても「ちょっと、常識的に考えたらあり得ない・・・。」と感じるシーンが多々ありました。

例としては、常識の認識が世間一般と微妙にズレている、冗談が通じない、ちょっとした注意ですぐ激高したり、キレる、視野が狭い、思い込みが強くすぐ自己完結する、問題を解決しないで逃避する、他人や集団の空気が読めない、などの共通点があったように思います。これらは主観ではありますが、ネガティブな印象として共通しているという点で気にはなっていました。(※私が出会ったゲーマーの方は複数名いますが、1年以上仕事が続いている方はいませんでした。)

昔は、ゲームによる脳の悪影響などが、科学的に解明されていませんでしたが、スピリチュアル感覚として大人は「ゲームにハマりすぎるのは良くない」ということを誰もが感じていたと思います。近年、本記事で述べた通り、科学的視点とスピリチュアル視点からも、ゲームによる悪影響が一致したため、お子さんを持つ親御さんには、特にゲームに関する管理の仕方を考えていただきたいと思っています。

最後になってしまいましたが、ゲームを全面的に否定しているわけではありません。ほどよく友人・知人と遊ぶなどのコミュニケーションツールにする分には良いですし、やり過ぎなければ気分転換に使っても良いでしょう。要は『やり過ぎ』『長時間プレイ』『依存』に注意しながら、中道生活をするということが大事であろうと思います。

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