仕事ができない上司の下で働かなくてはいけない場合の対処法. No.15

アルバイトやサラリーマンなど、組織で働く場合、必ず上司の下で働かなくてはいけません。尊敬できる上司の下で働ければ良いのですが、上司も人間です。仕事ができて、人格的にも尊敬できるような完璧な人はいません。明らかに仕事ができず、人格的にも尊敬できない嫌な上司だったり、タイプ的に苦手な上司の下で働かなくてはいけない場合の、対処法をお伝えします。

なぜ仕事ができない人が責任者になってしまうのか

今の日本は人口が減っており、働き手自体の頭数が急激に減少しています。その為、どこの会社も人手不足で、会社もその中から責任者を任命しなければならず、必然的に人の上に立つ資質のない人間が責任者になってしまう状況ができやすい世の中になっています。

一言で言えば人財不足なわけですが、組織をまわしていく以上、誰かしらは責任者やリーダーにさせないといけない為、実際には仕事ができない人でもそうしたポストについてしまう場合が多々あります。そうした組織内では、単に真面目で反抗しない人や、比較的自分の考えを持っている人、人に指示が出せる人、などが抜擢されます。

今の時代の傾向としては、出世欲が強くて人より抜きん出てやろうとガツガツ改善していこうとする意欲のある人や、金八先生のような熱い意志を持った人は少ないのが現実です。経営側も口ではきれいなことを言いますが、本音はすぐに数字を出そうとして、人を育てるという概念や教育ノウハウを持っていません。その為、適当に仕事ができて、会社の言うことに素直に従う人を責任者に据えたりしがちです。

ただでさえ働き手が少ない中から、人の上に立てる資質を持った人財となると割合的にはかなり少ないというのは明白です。この日本の現状を考えると、仕事ができない上司の下で働く人の割合が増えていきますし、本来なら有能で数少ない人財が、仕事も、人を見る目もない上司の下に埋もれてしまうリスクも当然増えていきます。

無能な上司の特徴

具体的に仕事ができない上司とはどういう人なのでしょうか。「無能」と言ってしまうと、非常に辛辣な言葉になってしまいますが、企業組織において無能ということは、先ず成績を出すことができない、成績を上げることができないということです。

飲食店などの店長だとしたら、やはり売上をどんどん落としていくタイプです。売上の上げ方がわからないので、とにかく経費を削減する方向に頭が向かいます。経費を削減することは、無駄をなくすことなので非常に大事ですが、無能と呼ばれる人は必要なものや重要なものを削ってしまうのです。しかし、数字だけ見ると経費自体は削減されているので、売上よりも経費を大幅にカットすれば利益が出ているように見えます。

大事なものまで削ってしまう見る目の無さ

たとえば、商業施設などで経費削減というとたいがいは先ず清掃費から削られていきます。しかし、商業施設がきれいか、汚いか、ビルなどではトイレがきれいか、汚いかは集客に非常に影響します。

10年以上前のアンケートの話ですが、ショッピングモールや、ホテル、ビルに足を運ぶかどうかの基準を問う項目で『トイレがきれいであること』が1位の解答でした。最近のアンケートでは解答の選択欄で、トイレがきれいかどうかという選択肢がないことが多いのでデータに上がってきませんが、潜在的な顧客心理にきれいで衛生的か、美観が美しいか、は実は重要なポイントになるのです。

そういった、目に見える形や数字、データで表現されない部分に実は重要なことが隠れていることに気づける人は切れ者で、かなりのやり手です。しかし、凡人はそこを軽視して、毎日清掃すべきところを3日に1回にすれば良いとか言い始めます。

物販などでは、単体ではコストがかかる赤字商品であっても、その商品を置いていることでお客さんが寄ってくるという招き猫的な役割を持つものもあります。お客さんはその商品は買わなかったとしても、とりあえず目立ったり、気をひくその商品に関心を持ってお店に入ることで、ついで他の商品を見ます。そして、別の商品を購入していくという流れによって店舗全体としての売上を上げているということに気がつかない人は、赤字商品だからという理由だけで販売を打ち切るような判断をしてしまうのです。

失敗を自分以外のせいにする

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部下の責任を押し付けて感情的に怒る

嫌われる上司の典型としては、何か失敗があると部下のせいにする人です。建前上、◯◯長とか、責任者という肩書きがあると、お客さんや、取引先に対しては矢面に立って謝罪していたとしても、社内では部下に当たり散らしたり、部下を叱責する人はよくいます。

上司も人間ですから、教育、指導の為には叱責することもありますし、叱責が必要な案件や状況、部下の個性もあったります。しかし、毎回部下がやらかす度に感情で怒る、きつく叱責する、責任を押し付ける、追い込む、失敗お原因や理由をすべて部下のせいにするなどの行為をしている人であれば、人の上に立つべき人ではありません。本人としては、今後また同じ過ちを繰り返さないように厳しく指導しているつもりかもしれませんが、不思議とそういうタイプの人が責任者の時に限って、事故、失敗、など問題が起こるものなのです。

なぜなら、責任回避願望、お客さんの手前、自身の経歴に傷がつく恐れからの保身、などの自己保身に意識が向いていて、お客さんに喜んでもらえる仕事、働いている人たちの気持ち、環境を良くすることなど前向きかつポジティブな意識がないからです。職場で、怒っている人がいると空気が重苦しくなります。特に上司が前向きな意識で怒るのではなく、単なる感情で怒るタイプの場合、働いている人の意識が、「怒られないようにしなきゃ」という保身ばかりに向かってしまう為、悪い現象が起きることはあっても改善されることはありません。

人はネガティブな意識で緊張していると、自分の能力の半分も発揮できません。普段ならまったく問題ない仕事でも、上司からずっと凝視されながら作業をしていると変な緊張でうまくできなかったり、普段ならやらない失敗をすることがあります。スポーツ選手でも、プレッシャーがかかると思うように実力を出せないタイプがいますが、それも意識が「失敗してはいけない」というマイナス方向に向かうために、悪い結果を引き寄せてしまうのです。

結局、部下を叱責ばかりしている人は、組織にいる人の能力を最大限に発揮させることができないわけです。部下の失敗を、自分の責任として考えて自身が指導法や采配、指示の出し方の反省して改善できない人は、責任者として有能とは言えないでしょう。

売上が上がらない理由を周囲の環境のせいにする

物販や、飲食店の場合、近くにライバル店ができると食い合いになって集客率が落ちたり、売上は落ちるものです。また今のご時世では働き手を確保するのも難しいものです。こうした時に、売上が上がらない理由や、クレームが多発する理由を外部環境のせいにして完結させてしまうタイプははっきり言って無能と言えます。

外部環境はいくらでも変化をします。その変化に対して創意工夫をしたり、マネジメントの改革に繋げることが経営でありマネジメントです。よくある話としては、個人事業的な同族経営している小さな町のスーパーが、近所に大手スーパーができたことによって潰れるケースがよくあります。これも近所に大手スーパーができたせいだ、と言ってしまえばその通りですが、腕の見せどころは、ではどうしたら大手スーパーに対抗できるかを考えて実行することです。大手にはできないサービスや、規模をあえて小さくしてマニアックな商品を取り揃えるなど施策はいろいろあります。

個人商店を例に挙げましたが、企業の店舗責任者レベルであっても、たいがいの問題はマネジメントのやり方でどうにでもなるものです。そこを環境のせいにして自分の責任を省みない上司だとすれば、無能ということになります。

無能な上司の下で取るべき3つの行動

簡潔かつ率直に伝えるためにあえて『無能』という言葉を使っていますが、本質は結局、その上司の意識の問題です。できる人間か、そうでないかは本人がどこに意識を置いて仕事をしているかです。

上司が自分のことしか考えていない人で、その下で働く人間の方が『お客さん』『会社の利益』『仕事のクォリティ』といった高いレベルの意識を持っていた場合、かなりのストレスや摩擦、離職を生みます。

しかし、家族を養う立場である社員、パート、アルバイトの立場だとそう簡単に転職はできない人が多いでしょうし、転職したところで、意識が低い責任者の下で働かなければいけない状況はかなりの確率であり得ることです。ですから、転職は最終手段としてカードを取ったおき、次の2点に意識を置いて仕事に当たると良いでしょう。

・上司からの指示と、自分の行動をすべてメモしておく

・自分が上司の立場だったらどうするかを考えながら仕事をする

上司からの指示と、自分の行動をすべてメモしておく

仕事ができない上司は、前述したように何かあると部下のせいにしたり、自分の責任逃れのために嘘をついたり、事実と微妙に違うことを言い出したりします。これは本人の自覚があるかどうかはその人によりますが、仕事ができない上司というものは、たいがい自分が指示したこと、言ったことをまるで忘れたかのように真逆のことを言う傾向があります。

たとえば「Aという作業をやっておけ」と指示されて、指示通りAの作業をしていると、そのAの作業をしたことで事故やクレームが起こったりすると、「俺はおまえにAという作業をやれとは言っていない」と平気で言ったりします。ここで部下の立場から「いえ、確かにAをやれと言われました。」と言ってもパワーハラスメントで押し切られたり、言った言わないで事がこじれてその後気まずい雰囲気になったりします。

こういう時に、自主的に日付入りのメモを取っておくと自分を守ることができます。小さな事であれば、適当に流すことも時には必要ですが、懲戒や厳罰、評価が著しく下がるような案件である場合は、そのメモが役に立ちます。これは、仕事のできない上司に限らず、サラリーマンなど組織で働く人は自己防衛策として、やっておくべきです。上司に悪気がなくても、そうした言った言わないの問題や、事故やクレームなどの原因分析および改善策を検討する上でも事実関係がはっきりするので非常に役に立ちます。

またこのようなメモは、パワハラや、素行があまりにも悪い上司を会社に訴える際にも有効です。会社の上層部に、上司の素行問題を相談しても、相談された側としても、ただ口頭で話を聴いただけだと訴えた側の一方的な主観、感情のみで判断できないのです。ですからメモは日付は必ず入れて、できるだけ客観的に事実のみを正確に書くようにしてください。会社からその上司に対して注意喚起するにしても、そうした事実の記録がないと何も動けません。

他にも、余談ではありますが、タイムカードなどの改ざんや、勤務時間のつけ間違いなどにも備えて、出退勤のメモもつけておくと良いでしょう。某大手系列の企業でも、ほんの1時間分だけ毎月少なく改ざんされていたという話は実際にあります。給与明細をもらっても様々な手当や税金など天引きなどで振込金額だけ見てもわかりづらいですし、責任者が、休日出勤分を別の日の残業分として付ける等の調整などしている時は「ちゃんと付けておいてくれているだろう。」と信じてしまうものです。

自分が上司の立場だったらどうするかを考えながら仕事をする

上司に限らず、基本的に人は、他人を変えることはできません。まして上司であれば、下の立場からものを申しても聴くはずがありません。仮に、その時は「わかった、気をつけるよ」と言ったとしても、今までの仕事のやり方は、ある意味癖になってしまっているのでそう簡単に修正できるものではないのです。

ですから、上司の指示や仕事の進め方があきらかに非効率であったり、的が外れた方法であったとしても、責任は上司にあるわけですからとりあえずは従うしかないでしょう。その裏で、あなた自身のスキルや知恵を磨く意味で、もしあなたが上司と同じ立場だったらどう指示するか、どのような施策を取るか、を考えるようにしてみましょう。

そうすると、次にどうしたら良いか、そうしたらこうなるから対策を立てておく、など一段上

の仕事スキルが身に付いていきます。人間は不思議なもので、今以上のスキルが身に付いてくると、あなたが望む、望まないに関わらず思わぬ形で、自分の立場がそのスキルに合わせてレベルアップしてしまうのです。たとえば、平社員であれば、課長の仕事を想定して仕事を進めていると、課長の代理としての仕事ができるようになってきます。すると、ほどなく課長に抜擢されたり、ヘッドハンティングで課長レベルの仕事を任されて出世したりします。環境があなたのレベルアップに合わせて変化してきますので、結果的に、今の無能な上司の下で働く必要がなくなっていくのです。

要は、今の上司以上のスキルを自分が身に付けてしまうということです。この方法は多少時間

かかるかもしれませんが、摩擦や揉めることなく円満に解決する割合が高いです。あなたがスキルアップする過程で、あなたの上司は、あなたにフォローされることになり、上司も助かりますし、結果として会社に貢献していることになっているのです。そういう働きは、必ず誰かが見ていて、あなたの知らないところで評価されているものなのです。自助努力をしつつ、運を天に任せるという感じの遠回り的な方法に感じるかもしれませんが、あなたにとっても、上司にとっても、会社にとっても、お客さんにとっても何1つ悪いことがありません。

まとめ 自分のスキルアップに活用する

仕事のできない無能な上司の存在も、必ず意味があります。上司が無能であれば部下がしっかりしなければなりません。人間は進歩と調和のバランスを取りながら、発展・繁栄に向かって成長するようにできています。個々の人生も同じで、何か問題が目の前に出現した時は、必ず今以上のあなたになるための学びが隠されています。

無能な上司の下で、現状を改善しようとする過程で大切な学びがあります。それは、あなたの問題解決能力を強化して高める学びであり、問題を解決していく中で、どんなに無能と思われる上司でも立場が上であれば、その立場を尊重して顔を立ててあげることです。人は誰でも他人からバカにされたくないものです。まして部下から生意気なことを言われたりしたら10人中9人は怒るでしょう。上を立てつつ、下の立場で実害がないように働くというのは、単なる責任者よりも難易度が高い修行かもしれません。

しかし、人は乗り越えられない苦しみや問題は、その人には起きません。あなたが、そういう難易度の高い人間力をつけることができる器だからこそ、今、そうした問題にぶち当たるわけです。おそらく、無能な人の下で働きつつ、自分や組織に損害を与えないスキルというものは、他の人間関係でも、どんな場所でも通用する大きな武器となります。そしてスキルがついて成長すると、そのスキルに見合った新しい人生のステージが目の前に現れてきますので、そうした人生の不思議な法則を体験する意味でもぜひ頑張って試してみて下さい。

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